2023年6月16日、岡島百貨店の跡地に「映画館」の誘致を目指していることが明らかとなりました。
甲府市中心街へのシネマコンプレックス誘致によって、地域の活気が再び蘇ることが期待されています。
岡島百貨店の跡地に映画館の誘致が浮上!
6月16日に開催された甲府市の定例市議会にて、代表質問がおこなわれました。
その中で、旧岡島百貨店の跡地に建設予定の商業施設について、テナントの核として「映画館の誘致」を目指していることが明らかとなりました。
同一の施設内に複数のスクリーンがある映画館「シネマコンプレックス」の導入が期待されています。
岡島百貨店の跡地に映画館の誘致が浮上
そもそも岡島百貨店の跡地は何になる?
そもそも岡島百貨店の跡地には、28階建てのマンションと4階建ての商業施設が建設予定となっています。
事業主 | 株式会社タカラレーベン |
竣工予定 | 2028年7月頃 |
規模 | 地上28階建て |
住戸数 | 約360戸 |
全体延床面積 | 約61,000平方メートル |
商業施設面積 | 約3,200平方メートル (1階と屋上に広場を整備) |
自走式駐車場 | 約300台 |
この商業施設部分に映画館を誘致するという話になっているわけですね。
商業施設の概要(予定)は、以下の通りです。
地下1階~2階 | 駐車場 |
地上1階~4階 | 商業フロア |
屋上 | 広場 |
山梨県内にある映画館は3つのみ
現在、山梨県内になる映画館は3つのみです。
- TOHOシネマズ甲府
- シアターセントラルBe館
- 塩山シネマ
イオンモール甲府昭和内にあるシネマコンプレックス「TOHOシネマズ甲府」が圧倒的人気を誇っているわけですが、そもそも昔からあったわけではありません。
イオンモール甲府昭和自体は、2011年3月に開業したばかりです(約12年前)。
となると、昔はどこで映画を見ていたのか……
甲府市はもともと「映画館の町」だった
今の若い世代は知らない事実ですが、そもそも甲府市には、多くの映画館があったのです。
- グランパーク東宝8
- 甲宝シネマ
- 武蔵野シネマ5
- 甲府シネマカリテ
など
2000年頃、甲府市中心部の一般映画館6施設の年間観客数は、約50万人と言われていたそうです。
山梨県で映画を見ると言えば、甲府市に出かけるイメージだったのを今でも鮮明に思い出せます。
グランパーク東宝8
もっとも規模が大きかったのは「グランパーク東宝8」。
8スクリーン計1550席。山梨県内に初めて誕生したシネマコンプレックスでした。
現在はケーズデンキ甲府店となっている場所にあった「グランパーク」という大型商業施設にあった映画館です。
名称 | グランパーク東宝8 |
所在地 | 山梨県甲府市 国母5-2158 (2010年) |
開館年 | 2000年12月9日 |
閉館年 | 2011年3月13日 |
2011年3月17日にはイオンモール甲府昭和が開業しているため、ちょうどバトンタッチするような形で閉館となっています。
甲宝シネマ
甲府駅から徒歩で行ける映画館の中で最も規模が大きかったのは「甲宝シネマ」ではないでしょうか。
名称 | 甲宝シネマ |
所在地 | 山梨県甲府市 中央1-3-7 (2012年) |
開館年 | 不明 |
閉館年 | 2013年7月14日 |
甲府駅から徒歩で行けるアクセスの良さと、ゲームセンターを併設しているというエンターテイメント性で、特に人気が高かったように思えます。
かつて甲府市中心街は学生の遊び場&デートスポットだった
今となってはターゲット層の年齢設定が高くなっているように感じる甲府市中心街ですが、昔は中学生や高校生の遊び場・デートスポットとしてかなり人気があったのです。
その理由は、甲府駅から徒歩10分程度で行けるという圧倒的なアクセスの良さ。
また、「映画館」「ショッピング施設」「ファミレス」という遊びに欠かせない施設がすべて揃っていたためです。
甲府市中心街で過ごした一日
私が学生の頃は、休日に友だちと遊ぶ、恋人とデートをする、といったときには「甲府に行く(中心街)」というのが定番でした。
- バスや電車で甲府駅まで行く
- 歩いて甲府市中心街へ
- 映画を楽しむ
- ゲームセンターでプリクラを撮る
- パセオで洋服や雑貨を買う
- パセオのサイゼリヤで食事&おしゃべり
「電車でアクセスができる」ということを除けば、現在のイオンモールでできることにかなり近いですね。
小・中・高校生に人気の「パセオ」があった
現在ココリビル(岡島)がある場所には、「パセオ」という商業施設がありました。
ファッションビルという位置づけになっていただけあって、70店を超えるファッション・雑貨店が入っていたのです。
今のようにネット通販で服を買うといったこともほとんどない時代、「おしゃれな服を買うならパセオで!」という風潮がありましたね。
現在のイオンモールのような存在でした。
イオンモールの存在に懸念の声も
イオンモール甲府昭和ができてからというもの、甲府市中心街の勢いは衰え、近くにあったアピタ田富店は閉店。
オギノ田富店も改装に伴い、売り場面積が大幅に縮小となりました。
山梨で買い物をする・映画を見るならイオンモール、というこの時代、果たして岡島百貨店跡地に映画館を誘致しても大丈夫なのか。
すでにSNS上でも
「できてもイオンモールに映画を見に行く」
「すぐに潰れそう」
「駐車場は無料?有料?」
といった不安や懸念の声が上がっています。
イオンモールに負けずに生き残る方法とは
イオンモールがある中で、甲府市中心街が今以上の盛り上がりを見せるためには、以下の方法が考えられます。
- ターゲット層を中高生に絞る
- イオンモールにはない店舗を誘致する
- イオンモールの映画館と放映時間や時期をずらす
- 4DX、MX4Dを導入する
ターゲット層を中高生に絞る
もっとも有効なのは、ターゲット層を中高生に絞ることではないでしょうか。
イオンモール最大の欠点は、アクセスが悪いということです。
移動手段が車となっている大学生や社会人は、甲府市に映画館ができても行かないでしょう。
むしろ駐車場が有料であれば、避けるレベルです。
しかし、中学生や高校生なら話は別。
甲府駅から徒歩で行ける範囲に映画館ができれば、アクセスの悪いイオンモールにわざわざ行く必要がなくなります。
映画館を誘致するのであれば、商業施設全体のターゲット層を中学生〜高校生、あるいは甲府市の大学に通う大学生あたりに絞るべきではないでしょうか。
実際、ラザウォーク甲斐双葉が潰れないのは、塩崎駅から徒歩で行けるという利点があるからだと私は考えています。
イオンモールにはない店舗を誘致する
また、イオンモールにはない店舗を誘致するのも有効です。
できれば現時点で山梨にはない店舗が望ましいですね。
かつて甲府にあった「ディズニーストア」や「トイザらス」を復活させるか、「IKEA」あたりが入れば集客が期待できそうです。
- ディズニーストア
- トイザらス
- IKEA
「コストコ」はすでに南アルプス市に開店が予定されているため、除外します。
実際、イトーヨーカドーが潰れないのは、「アカチャンホンポ」「Loft」といった、県内唯一の店舗があるからだと思っています。
ただし、今後イトーヨーカドーも閉店する可能性はありますが……。
基本的には車移動ができない学生ターゲットがよさそうですが、「とんでもなくファミリーの施設」になれば駐車場代がかかっても人が集まりそうです。
理想はららぽーと沼津ですね(もちろん、こんなに敷地が大きくなくて良いのですが……)。
- 子ども向けの無料室内遊びを多数設置
- 施設外に遊具あり
- 「トイザらス」「アカチャンホンポ」「ディズニーストア」が揃う
- フードコートに小上がりあり
- 子ども向けのイベントあり
このレベルなら、まったく宣伝しなくても家族連れが毎週集まりそうです。
イオンモールの映画館と放映時間や時期をずらす
上記二つが実現不可能な場合は、徹底的にイオンモールの映画館と放映時間をズラすほかないでしょう。
見たい映画があったとき、案外時間が合わないということもあるのです。
イオンモールの映画館と放映時間や時期がズレていれば、ある程度集客が期待できそうです。
4DX、MX4Dを導入する
イオンモールの映画館に勝つためには、「4DX」「MX4D」を導入するといった手もあります。
4DXは、映画鑑賞のための特殊な上映技術。座席が揺れたり、風や水しぶきが出たりすることで、映画の世界により感じ入ることができます。光や香りなども使われ、よりリアルな体験ができます。
MX4Dは、映画鑑賞のための特殊な上映技術の一つ。4DXとの違いは、シートの振動がより微細であること、首元への温風刺激があるといった点です。
映画館の誘致で活気は取り戻せる?
映画館を誘致するなら、上記のことを考慮しないと失敗に終わる可能性があります。
しかし、成功すれば甲府市中心街が活気づくチャンスでもあります。
映画館の誘致は、今後甲府市中心街の発展を左右する最大の要素となるでしょう。
地域の魅力を引き出し、多くの人々が訪れる魅力的なエンターテイメントの拠点となることを期待しています。